kazesan
雨のちくもり、ときどき写真家
2013年10月12日
鴻の里 #006 里山
だれが言い始めたものか今では里山がすっかり定着した。どこもかしこも里山と呼ばれ
一括りの同じような土地が散在しているようだ。けれども、同じ顔をした町や街と里山と
では大きくちがうものがある。確かに風景は似ているだろう。見かけるのは姿形の似た老
婆が乳母車然としたものを頼りによぼよぼと歩いている様ばかりだったりする。だが、見
つめているとそこには個別の息づかいが感じられる。個々の営みが風景の中に刻まれてい
る。限界集落が、この世の際に見えてくる。眠るように、静かに燃えている。
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