自然農という農法がある。川口由一さんというお百姓が提唱実践している。鴻
さんたちも奈良にある川口さんの塾に出かけ学んできたそうだ。まだお会いした
ことはないが、ひとときでも鴻の里で過ごすからにはとこの初心者も川口さんの
本を取り寄せていくらか読んでいる。その川口さんには「自然農という決まった
一つの方法があるわけじゃない。それぞれのやり方を見つけていけばいい」とい
うような印象深いひと言がある。参考にしようとわざわざ読んでいるのに、すっ
かり真似をするなと言っている。環境に合わせたそれぞれの最前を模索しろとい
うことだろう。なかなかに骨の折れる仕事だが、まさに試行錯誤の実践あるのみ
実に心地いいアドバイスだ。鴻さんたちは今年十枚の田んぼで米を作った。面白
いのは、そのどれもが少しずつちがう表情をしていることだ。慣行農法然として
割とすっきり整っている一枚があれば、草原か荒れ地と見間違えるほど暴れん坊
の田んぼもある。すべて耕されていない。言うなれば、ぶっきらぼうに植えられ
た。たとえばもっともユニークだと感じる田んぼは棚田の最下段にあり、一面を
覆っていたススキを苅り払ったあと、内に格子状に溝をめぐらし、田植えは棒切
れで空けた穴に苗をはめ込むという感じだった。手伝いながら、これが本当に実
るんだろうかと秋の姿が楽しみだった。掲載の写真が、その田んぼの一画。繁茂
するミゾソバと稲穂が絡み合い、競い合って成長した痕跡が残っていた。さらに
イノシシが侵入した形跡まであり、なんともはや、鴻式自然農の前途は多難なが
らすこぶる逞しい。豊彦さんは言う、「この美しい棚田の風景を蘇らせたい」。
その取り組みがいよいよ形になって見えてきた。
さんたちも奈良にある川口さんの塾に出かけ学んできたそうだ。まだお会いした
ことはないが、ひとときでも鴻の里で過ごすからにはとこの初心者も川口さんの
本を取り寄せていくらか読んでいる。その川口さんには「自然農という決まった
一つの方法があるわけじゃない。それぞれのやり方を見つけていけばいい」とい
うような印象深いひと言がある。参考にしようとわざわざ読んでいるのに、すっ
かり真似をするなと言っている。環境に合わせたそれぞれの最前を模索しろとい
うことだろう。なかなかに骨の折れる仕事だが、まさに試行錯誤の実践あるのみ
実に心地いいアドバイスだ。鴻さんたちは今年十枚の田んぼで米を作った。面白
いのは、そのどれもが少しずつちがう表情をしていることだ。慣行農法然として
割とすっきり整っている一枚があれば、草原か荒れ地と見間違えるほど暴れん坊
の田んぼもある。すべて耕されていない。言うなれば、ぶっきらぼうに植えられ
た。たとえばもっともユニークだと感じる田んぼは棚田の最下段にあり、一面を
覆っていたススキを苅り払ったあと、内に格子状に溝をめぐらし、田植えは棒切
れで空けた穴に苗をはめ込むという感じだった。手伝いながら、これが本当に実
るんだろうかと秋の姿が楽しみだった。掲載の写真が、その田んぼの一画。繁茂
するミゾソバと稲穂が絡み合い、競い合って成長した痕跡が残っていた。さらに
イノシシが侵入した形跡まであり、なんともはや、鴻式自然農の前途は多難なが
らすこぶる逞しい。豊彦さんは言う、「この美しい棚田の風景を蘇らせたい」。
その取り組みがいよいよ形になって見えてきた。
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